◆ タンパク質(ペプチド) ◆

タンパク質は、20種類のアミノ酸分子が鎖状につながった巨大分子。
アミノ酸の種類、組み合わせ、数により、様々なタンパク質ができる。
大豆に含まれるタンパク質は、子実中の約35%にも達し、最も多い成分です。また、大豆タンパク質の消化吸収率は、吸収率が非常に高いと言われる動物性タンパク質に匹敵するとともに、タンパク質を構成するアミノ酸のバランスがよく、高い栄養価を持っています。
(1) 血中コレステロール低下作用
  血液中のコレステロール値が高い状態が長く続くと、血管の内側に余分なコレステロールが付着し、血管を硬くし、血管の中を狭くしていきます。これを動脈硬化症といいますが、この動脈硬化症は脳梗塞や狭心症、心筋梗塞へ進行する可能性があります。
大豆タンパク質は、血中コレステロールを低下させる作用があることが明らかになっています。
体内のコレステロールは胆汁酸を経て腸と肝臓を循環していますが、消費される胆汁酸の量が増えるとコレステロールから胆汁酸が作られ、失われた分が補てんされるため、結果的に体内(血中)のコレステロールが低下することになります。大豆タンパク質については、タンパク質分解酵素で処理された後の非消化画分が、胆汁酸と強力に結合し体外に排泄されることが報告されており、血中コレステロールを低下させるのは新たな胆汁酸の生成を促進するためと考えられています。
なお、米国食品医薬品局(FDA)では、大豆タンパク質のもつコレステロール低下作用に着目し、大豆タンパク質を1日あたり25g(大豆75g≒豆腐一丁)含む食品について「心臓病のリスクを低減する食品」という趣旨の表示をすることを認めました。
(2) 血圧上昇抑制
  静かなる殺人者(Silent Killer)といわれる高血圧症は、日本では成人の半数近くがかかっているといわれています。
大豆タンパク質が分解されてできるペプチドは、血圧の調節に関与する酵素であるアンジオテンシン変換酵素(ACE)を強く阻害することが報告されています。
ACE阻害剤は血圧下降剤として用いられているため、大豆タンパク質にも血圧上昇の抑制効果があると考えられます。
(3) 抗酸化作用
  不飽和脂肪酸の酸化によって生じる過酸化物やフリーラジカルは、食品の風味や栄養価などを損ない、品質の劣化を引き起こすだけでなく、体内においては生活習慣病や老化などを引き起こす引き金になるといわれています。
大豆タンパク質が分解されてできるペプチド類は抗酸化作用をもつことが知られています。
なお、タンパク質分解物の抗酸化性は、多様な作用機構を持つ各種のペプチドの共同作業によって生み出されたものです。
(4) 肥満防止
  タンパク質を摂取すると、交感神経が刺激され活性化して、褐色細胞組織(ここで熱産生が起こり、体重がやたらに増えないように調節が行われている)での熱産生が高まりますが、大豆タンパク質を摂取すると、この余分なエネルギーを消費する作用がほかのタンパク質に比べ大きいことが報告されています。

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◆ イソフラボン ◆

イソフラボンは、女性ホルモンのひとつ、エストロゲンと構造が似ており、体内で同じ作用をする。
イソフラボンは大豆のフラボノイドの一種で、植物エストロゲンともいわれ、女性ホルモンが減少した場合には代替ホルモンとして作用します。大豆に含まれるイソフラボンの含有率は0.2%と微量ですが、日常摂取するイソフラボンの多くは大豆食品からと考えられており、大豆食品を多く摂取する日本人が欧米人に比べて、更年期障害、循環器疾患、骨粗鬆症などの発症率が低いのは、イソフラボンの摂取量の差によるものと考えられています。
大豆の機能性成分と主な効果なお、現在、イソフラボン含有量が通常の大豆より高い品種を育成中です。
(1) 細胞のがん化を抑制
  細胞がガン化するときに発現するチロシンキナーゼを抑制することにより、細胞のガン化を抑制することが知られています。また、イソフラボンは女性ホルモンが多くあるときにはその作用を抑制する作用が現れ、ホルモン依存型の乳ガンや前立腺ガンに予防効果があるといわれています。
岐阜大学の永田助教授らが行った疫学調査によると、大豆製品を多く摂取した人は、摂取量の少なかった人に比べ、胃ガンでの死亡率が約50%に半減したというデータが得られています。
(2) がん細胞の増殖を緩和
  イソフラボン配糖体のゲニスチンという物質に、ガン細胞が増殖する際に必要な血管形成を抑制する効果があることから、ガン細胞の増殖を押さえることが知られています。
(3) 骨粗鬆症の緩和
  骨の重要な機能の一つは、体重を支え運動機能を保持することですが、もう一つの機能として、体内のカルシウム貯蔵庫として、必要に応じてカルシウムを血液中に供給する役割を果たしていることです。このため、骨は、形成と吸収を繰り返していますが、正常な状態ではこのバランスは平衡が保たれており、骨量が一定に維持されています。しかし、一旦この平衡関係が崩れると、骨代謝異常症という疾患に陥ることとなります。この疾患の中で、最も一般的なものが骨粗鬆症です。
我が国の骨粗鬆症の患者数は現在約1千万人と言われていますが、急速な高齢化社会への移行に伴い、2010年には1千5百万人に達すると言われています。また、骨粗鬆症は、骨折を招き、寝たきりの直接の原因となることからも重要な疾患と言えます。
イソフラボンは女性ホルモンのエストロゲンと同じ様な作用をします。エストロゲンは体内のカルシウムをコントロールする物質の一つで、カルシウムが骨から過剰に溶け出すのを防ぐとともに、骨形成を促進する働きもあります。このため、イソフラボンは、特に女性ホルモン分泌が減少して骨粗鬆症になりやすくなる更年期の女性に有効と考えられています。
なお、京都大学の家森教授らが行った疫学調査によると、骨密度を高く維持するためには、一日に40mg程度のイソフラボンを摂取することが望ましく、豆腐では約100g、納豆なら約60gを毎日食べればよいことになりますが、現在の日本人の一日当たりの推定イソフラボン摂取量は約18mgとされています。
(4) 更年期障害の抑制
  イソフラボンは、女性ホルモンであるエストロゲンに類似の構造を持つことから、ほてりやのぼせといった更年期障害を緩和することが知られています。

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◆ 脂質 ◆

食品に多く含まれる「脂肪」は、1分子のグリセリンに脂肪酸が3分子結合した脂質。
脂肪酸には、炭素(C)や水素(H)の数により色々な種類のものが存在する。
全ての炭素原子の4つの手に、炭素や水素が1つずつ結合しているのが飽和脂肪酸、部分的に水素が抜けた形のものが不飽和脂肪酸である。
脂肪を構成する脂肪酸に飽和脂肪酸が多いと個体の脂に、不飽和脂肪酸が多いと液体の油になる。
一方、コレステロールは頑丈な構造により、細胞膜の構成成分など重要な役割を果たしている。
大豆の脂質は、子実中に約20%含まれています。大豆油には不飽和脂肪酸が多く含まれ、全体の80%にもなります。特に、リノール酸やリノレン酸などの必須脂肪酸が多く含まれ、これらの供給源としても重要です。
なお、大豆油に最も多く含まれるリノール酸の過剰摂取はガン細胞の増殖や善玉コレステロールの低下を引き起こすことが知られてきており、1人一日当たりの油摂取の適量と考えられている20gを守る必要があります。
(1) オレイン酸…善玉コレステロールの増加…
  コレステロールには、肝臓で合成されたコレステロールを各細胞に運ぶLDLと余分なコレステロールを肝臓に戻すHDLがあります。LDLが活性酸素などで酸化され酸化LDLになると、この酸化LDLを血液中のマクロファージ(免疫細胞の一つ)が異物として取り込み、これが血管に付着し動脈硬化症発症の原因となりますので、LDLは少なめ、HDLは高めの方が良いとされており、LDLを悪玉、HDLを善玉と表現しています。
大豆油に30%程度含まれるオレイン酸は、血液中の善玉コレステロール(HDL)を増加させ、血中コレステロールを低下させることにより、血液をさらさらにする働きが認められています。
(2) 大豆レシチン・コリン…脂質代謝の改善、記憶力・集中力の増加…
  リン脂質はコレステロールとともに細胞膜の主要な構成成分の一つであり、大豆には、レシチンと呼ばれるリン脂質が多く含まれています。また、大豆レシチンは、肝臓の脂肪を乳化させ血液に送り出し易くするとともに、レシチンの主要成分であるコリンは、血中の総コレステロールを低下させるという生理作用が認められています。
また、コリンを材料とするアセチルコリンは神経伝達物質の役目を担っており、コリンを補給することによって記憶力・集中力の増加や加齢に伴う記憶障害の改善が期待できます。

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◆ 糖質 ◆

オリゴ糖とは、単糖が2〜数十個結合したもの。少糖類、寡糖類とも呼ばれる。
砂糖や乳糖などの二糖類もオリゴ糖に属する。
構成単糖の種類と個数によって性質が異なる。
ラフィノースは<フルクトース>-<グルコース>-<ガラクトース>の3糖、スタキオースは<フルクトース>-<グルコース>-<ガラクトース>-<ガラクトース>の4糖で、いずれも難消化性でビフィズス菌増殖効果がある。
糖質は、大豆子実中に約25%含まれる主要な成分です。
(1) 大豆オリゴ糖…ビフィズス菌増殖作用…
  腸内細菌には、腐敗細菌の発生抑制、ビタミンB群の生産、腸の蠕動運動の促進、免疫力の向上、発ガン物質の分解等の生理活性を有するビフィズス菌や乳酸菌の一部などの有用菌と、大腸菌、ウエルシュ菌、ブドウ球菌などの有害菌がありますが、有用菌の減少は、ガン、肝臓病、動脈硬化症、免疫力の低下などにつながる有害菌が増加することになるため、腸内を常時ビフィズス菌優性、有害菌劣性の環境に保っておくことが重要です。
大豆に含まれる可溶性糖類の総称である大豆オリゴ糖のうち、主成分であるスタキオース、ラフィノースは優れたビフィズス菌増殖活性を持っています。しかも、これらはビフィズス菌にはよく利用されますが、腸内有害菌には利用されにくいビフィズス菌に選択的なオリゴ糖であることが明らかにされています。
なお、大豆オリゴ糖は、煮豆、豆腐・豆乳、黄粉には含まれていますが、納豆、味噌、醤油にはほとんど含まれていません。
(2) ムチン…胃の粘膜保護…
  糖とタンパク質の複合体であるムチンは、納豆のネバネバの成分であり、消化酵素ペプシンから胃壁を保護してタンパク質の吸収を助ける作用や粘膜を修復する作用があり、また、胃炎、胃潰瘍の予防効果があるといわれています。

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◆ 食物繊維 ◆

大豆にはセルロース、ペクチン、ガラクトマンナン等の繊維質が含まれている。
特に、種皮に多く含まれるので、 煮豆、きな粉、おから、納豆で効率よく摂取できる。
従来製法の豆腐には食物繊維は含まれないが、おから成分を含む「丸ごと大豆」の豆腐には多く含まれる。
【大腸ガンなどの抑制 】
食物繊維は、大豆子実中に約5%含まれています。食物繊維は水溶性と不溶性とに分けられますが、大豆は不溶性食物繊維を多く含むため、水分を吸収して膨れ、それが腸壁を刺激して腸の運動を盛んにし、食べ物の残りかすを排出してくれます。大豆製品は、ゴボウやセロリなど食物繊維が多いと思われる食品よりも一食当たりの食物繊維含有量が多く、高タンパク・高脂肪・低食物繊維の現代の食生活で起こりやすい大腸ガンなどの抑制に効果的です。

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◆ サポニン ◆

"サポニン"とは、水溶液で石鹸のように泡立つ特性から。
大豆や小豆の煮汁が泡立つ原因成分。
茶、ニンニク、朝鮮人参などにも含まれる。
溶血作用があり、極端に多量摂取してはいけないが、動脈硬化のもととなる過酸化物質の生成を抑制し、
総コレステロールや中性脂肪の生成を抑える。
【抗酸化作用、ガン増殖抑制】
配糖体の一つである大豆サポニンは、苦味、収斂味などの大豆食品の風味に影響を及ぼす成分ですが、不飽和脂肪酸の多い大豆油の酸化を抑制する機能やイソフラボンと同様にガン細胞の増殖を抑制する機能が知られています。

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◆ ビタミン ◆

完熟大豆にはビタミンB2とビタミンEが多く含まれるが、ビタミンB2は納豆に加工することで飛躍的に増加する。
枝豆の状態の大豆にはビタミンAおよびCも含まれる。
(1) ビタミンB2…成長促進作用…
  ビタミンB2は、細胞の再生を促す水溶性のビタミンで、健康な皮膚や髪、つめを作り、成長を促進します。特に成長期には十分摂取する必要があります。大豆にはビタミンB2が多く含まれていますが、納豆にすることによってビタミンB2はさらに増加します。なお、ビタミンB2は体内に貯めておくことができないため、毎日摂取する必要があります。
(2) ビタミンE…抗酸化作用…
  人体の細胞膜の主要な構成成分の一つである不飽和脂肪酸は、酸素と結びついて過酸化脂質になりやすく、細胞膜を構成している不飽和脂肪酸が過酸化脂質に酸化されると、細胞は正常な機能を失い、臓器の変調や病気が起こります。脂溶性ビタミンであるビタミンEには抗酸化作用があり、過酸化脂質の発生を抑制する働きがあります。

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◆ カルシウム ◆

【骨粗鬆症の抑制】
カルシウムは、骨や歯の成分として重要であり、また、「いらいら」を抑制する効果があるとされていますが、国民栄養調査結果によると、栄養素の中で所要量を満たしていない唯一の栄養素がカルシウムです。
日本人は、カルシウム摂取量の15%程度を大豆製品から摂っていますが、大豆成分として含まれているカルシウムは比較的少なく、豆腐や油揚げの凝固剤として用いられるカルシウムも重要な供給源となっています。
 

◆ トリプシンインヒビター ◆

【糖尿病の予防】
生の大豆にはトリプシンインヒビターという物質が含まれています。この物質は膵臓肥大の原因物質で、トリプシンというタンパク質分解酵素の働きを阻害する物質であり、人体に対しては有害だと考えられていました。
 一方、糖尿病は、インスリンというホルモンとそれを分泌する細胞(B細胞)が減少したり弱ったりして起こる病気です。
トリプシンインヒビターは、B細胞を増殖させ、インスリンを増加させるために、糖尿病の治療や予防に役立つことが期待されています。なお、トリプシンインヒビターは、加熱することにより活性がなくなりますので、普通の大豆製品(豆腐、納豆など)から摂取することはできません。

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◆ フィチン酸 ◆

【ガン抑制効果】
フィチン酸はリン酸が主成分であり、亜鉛の吸収阻害成分として従来知られていましたが、近年、がんの抑制効果が報告されています。またフィチン酸を除去した大豆タンパク質にはミネラル吸収の向上効果が認められています。

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◆ 大豆アレルゲンタンパク質の除去 ◆

大豆は機能性、栄養性に富んだ食品ですが、一方で様々なアレルゲンタンパク質を含み、現在知られている24のアレルゲンの一つです。大豆アレルゲンとしてはこれまでに16のタンパク質が同定されており、卵、牛乳、小麦等に比べ症例数は少ないのですが、複数のタンパク質にアレルギー感受性を持つ患者もいると考えられています。通常、これらアレルゲンは豆腐・油揚げ程度の加工では完全には壊れず、食品中に残存するため、遺伝的にアレルゲンを除去する研究が進められています。
(1) アレルゲンタンパク質の遺伝的除去
  大豆の主要アレルゲンは、β−コングリシニンのαサブユニット、Gly m Bd 30K、Gly m Bd 28Kの3つです。これまでαサブユニットとGly m Bd 28Kを欠失した系統が育成されました。Gly m Bd 30Kについては半分程度にまで減少した系統が見いだされていますが、完全欠失系統は未だ見いだされていません。
(2) アレルゲンタンパク質の加工的除去
  Gly m Bd 30Kは11Sグロブリンを還元剤存在下で遠心分離することにより低減する方法が考案されています。またαサブユニットとα’サブユニット欠失下で高イオン強度下の1M硫酸ナトリウム、pH4.5の条件下で遠心分離することによりGly m Bd 30Kを効率よく低減が可能な方法が示されています。またプロテアーゼ等のタンパク質分解酵素によりアレルゲンを分解する方法や二軸エクストルーダー処理によりアレルゲンを除去する方法も考えられています。これらの加工的除去により、アレルゲンのない大豆食品の製造が可能になりました。

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